ABOUT
USP
USP (Unique Selling Proposition)とは、マーケティング用語で『競合他社より優れた企業の持つ強み、提案』などと解釈され、競合との差別的優位性をアピールする際に表現されます。コンセプトに重なる部分もありますが、優位性をより具体的、断片的に表したものが多いです。
道田又一商店では、このUSPを『消費者に対して、企業側が約束できること』とも解釈しています。
実際の例を挙げてみます。
・「30分で配達いたします」____ドミ○ピザ
・「お口で溶けて、手で溶けない」____M&M’sチョ○レート
こうしてみるとUSPは、より具体的な消費者への約束であることが分かります。
道田又一商店のUSP
『ベンタイル、モールスキンなどの堅牢でごく限られた生地で商品を生産し、永く愛用する喜びを提供します』
The more time you spend become have tasty.
ベンタイルなど生地の種類に制限を定めているので、作られるアイテムも限られます。シャツやカットソー、ニットなどのアイテムには不向きな生地ですから作ることはできません。その代わり(例えば)ベンタイルやモールスキン、パラフィン加工の生地のダッフルコートが欲しい、と思われる方でしたらそのようなアイテムがここでは見つかるかもしれません。
そして可能な限り、それらの生地で働く人に着てもらうアイテムを作る、ビジネスマンでも取引先に着ていけるモールスキンのコートを提供したい!と考えます。人は仕事をさせるためにそれを購入するのですから、その先の使い勝手の良さ、付加価値を提供しなければならないと考えます。
FABRIC
使用している生地についてですが、ベンタイルとモールスキンという2種類の生地を用いアイテムをそれぞれ展開しています。色違いのアイテムではなく材質そのものが異なるので、メリット、デメリットがそれぞれあります。例えるとアルミの自転車とカーボンの自転車では同じフレーム設計でも使い勝手、メンテナンスも異なります。経年変化も大きく異なるので10年後には全く別モノになっているアイテムです。
Ventile
ベンタイル生地は約80年前に英国で生まれた、コットンを通常の1.5倍ほどの量の糸を同じ面積に高密度に織り込んだ生地です。見た目はギャバジンやツイルのように見えますが、防水性、防風性、透湿性に優れたゴアテックスのような当時のハイテク生地です。ゴアテックスのように長年使うとポロポロと生地が剥離してくることもありません。より経年変化に強いのも天然素材の魅力です。
実はこのベンタイル生地、その防水性という機能から1943年に英国空軍RAFに航空機搭乗員の制服の生地として採用されています。海上での不時着からパイロットの命を救う防水性が認められ、彼らの生存性を高めた要因のひとつとなっています。
ベンタイルは生地の種類名ではなく商標です。国内では1社しか提供されておらず、その1社の提供で製作された商品のみベンタイルと表示する事ができます。
Moleskin
モールスキンは19世紀にはすでに存在したコットンを朱子織と言われる織り方で織った生地です。わずかな起毛がありますが上品な光沢感、柔らかい風合いながらも非常に耐久性に優れているのが特徴です。生地は極厚とよく表現されますが、ベンタイルより薄手のモールスキンも多数あります。1930年代ごろより、炭鉱現場や農業の現場でワークジャケットとして大量に流通し、1950年代以降はツイルやヘリンボーン、その他化繊にとって代り現場からは数を減らします。
古着屋でビンテージのフレンチワークを探された方は、必ず色落ちしたモールスキンのブルーをご存知かと思います。独特の経年変化をするモールスキンジャケットは今でも新品で購入できるの商品がありますが、カバーオールタイプが多くなかなかビジネスで着用できるデザインが少ないと思っていました。これがビジネスシーンでも着用できるモールスキンのアイテムを作ろうと決断した理由でもあります。
CONCEPT
少しだけ、道田又一商店について
以前、海外での現場仕事の際、よくラクダの糞が衣類に付着して大変な思いをした覚えがあります。その時使っていたパラフィン加工のカメラバッグは汚れに強く、簡単な洗濯で汚れもニオイも落ち、その後も長きにわたり良い仕事をしてくれました。
この経験がヒントに、道田又一商店の服づくりにも「汚れに強く、永く愛用できるためのアイデアを惜しまない」という考えに傾倒します。
加えて『人は仕事をさせるためにそれを購入する』という命題から、そのアイテムがその人のその後の生活をどう変えるか、どのようなベネフィットを提供できるかを考えます。
ビジネスマンが普段着用できる商品を提供しようと考えた場合、線引きとなったのが、ベンタイルやモールスキンといったワーク、ミリタリー由来の生地で銀行や金融業務でも着て行けるコートを作れるのか、ということでした。当たり前ですが、モールスキンのワークジャケットで証券会社や保険会社のスタッフは顧客に応対しません。大好きなワーク由来、ミリタリー起源のアイテムを自分だけが知り、まわりに気づかれることなく着ることができたら、その人は環境への帰属意識と自分らしさ、趣向を守り抜いたのではないでしょうか。
道田又一商店のものづくりは、永く伝わる作業着やユニフォームを元にその服の時代背景、要素を踏襲しつつ、修正を加味しながら、現代の着こなしに溶け込める服として提案しています。永く着て欲しいので大量消費や流行は見ておりません。そもそも昔の服をベースとしていますから、どこかルードな感じがあります。貴方の知識やセンスで楽しんでいただけたらと思います。