STYLE

製品仕様
STYLE & Detail
もし洋服に官能的性能があるとしたら……。ベルトを閉めたり、襟を立てた際の動きの中でも型崩れすることなく、綺麗なフレア感などが体現できるようなパターンを目指しました。このディスパッチコートにはオイルドクロスなどの素材は使われていません。持ち前の雄々しさはそのままに、日常着まわせる、超高密度のコットン“ベンタイル生地”を採用しています。

ポケット
ディスパッチコートの特徴である、斜めにオフセットされた大きなポケット。伝令兵が地図や暗号伝書を取り出しやすいように十分な大きさで、CDならケースごと5枚は収納可能です。フラップには隠しドットボタンをあしらいました。

スラッシュ・ポケット
美しいAラインを演出するために、40年代のオリジナルと異なる、横に走るフラップポケットではなくほぼ縦に走るスラッシュ・ポケットを採用。ベルトを締めた時も綺麗なシルエットを目指しました。

ベルト
トレンチコートなどで閉めないままのベルトを落としたことはありませんか。意外に気になりますよね。このディスパッチコートには、背面のベルト裏に脱落を防ぐ裏地を付けました。ボタンで着脱可能です。

パターン
このディスパッチコートには、裏地を付けておりません。ハリのある軽い生地の為、型崩れしないボディを確保しています。ポケットに手を入れるなどの仕草でも、裾の立体的な広がりを演出しますし、ベルトを締めるとガルウイングのような襟の立ち上がりが特徴になるようにパターンワークを施しております。

ミドル丈
モデルが着用しているディスパッチコート、実はオリジナルより10センチ以上丈が短いミドル丈になっています。ベルトを締めても閉めなくとも、適度にAラインを主張しやすく、いろいろな身長の人にも似合うような丈感を選びました。
fabric & historic story
天然素材“Ventile cotton”で経年変化を楽しむ&名作ビンテージ、ディスパッチライダースコートの歴史的背景


Ventile ベンタイル生地って何!?
ベンタイル生地はディスパッチコートと同じく約80年前に英国で生まれた、コットンを通常の1.5倍ほどの量の糸を同じ面積に高密度に織り込んだ生地です。
防水性、防風性、透湿性に優れたゴアテックスのような当時のハイテク生地で、薄さ、軽やかさからスプリングコートのような気障な趣もあります。そしてゴアテックス等の科学素材のように長年使うとポロポロと生地が剥離してくることもありません。より経年変化に強いのも高密度で織られた天然素材の魅力です。2年目くらいから生地は身体に馴染み、アタリが出て、ステッチが主張し始めます。新品とは異なる趣きが経年変化の醍醐味となるでしょう。

実はこのベンタイル生地、その防水性という機能から1943年に英国空軍RAFに制服として採用されています。海上での不時着からパイロットの命を救う防水性が認められたのです。訓練されたパイロットを失うくらいなら、機材、材質など安いものだ、というダンケルク撤退(1940)を成功させたウィンストン・チャーチルの想いがあるのでしょうか…。
concept & サイズチャート

ディスパッチコートは1940年に英国陸軍で採用されます。 “dispatch”という言葉には「急送」という意味があり、伝令を受け持った軍人の服がルーツです。モチーフとなるディスパッチコートは第二次世界大戦中、 Royal Engineers Signal Service.という組織の後、英国陸軍通信部隊で採用されます。通信兵がバイクにまたがり電気通信が制限された場所で重要な役割を果たしたのです。ちなみに彼らが使用したバイクは、Triumph、BSA、 Norton、Matchless、Arielだったと記されています。イギリス本土だけでなく、エジプトやキプロス島などの戦線でもその記録が確認できます。
しかし、当時のディスパッチコートの素材は、化学者チャールズ・マッキントッシュ博士が作り出した、完全防水のゴム引きコートでした。現在の“お洒落用”ゴム引きコートとは似て異なるものです。過酷な伝令の仕事と予測できますが、情報戦を重視したイギリスの歴史的背景が垣間見えます。
